清涼飲料水やお菓子の原材料表示に「果糖ブドウ糖液」と書かれていることがあります。
これは一体どういったものなのでしょうか??
食品表示にある「果糖ブドウ糖液糖」とは何か?
「果糖ブドウ糖糖液」は「ブドウ糖果糖糖液」や「高果糖液糖」などと共に
「異性化糖」と呼ばれ、ブドウ糖と果糖が混在した物質になります。
砂糖に比べコストが低く、同程度の糖度をもつという特徴があります。
そのため、砂糖の代替品としてよく使われます。
他の「異性化糖」との違いは含まれている成分の含有率の違いで、
① 果糖ブドウ糖液糖 … 果糖の含有率が50%以上90%未満のもの
② ブドウ糖果糖液糖 … 果糖の含有率が50%未満のもの
③ 高果糖液糖 … 果糖の含有率が90%以上のもの
になります。
異性化糖はどのように作られるのか?
「異性果糖」は芋類やとうもろこし(主にとうもろこし)などの「でんぷん」から作られます。
作り方手順は以下の通りです。
①デンプンに水と液化酵素(アルファーアミラーゼ)を加え、熱することで分解する
②糖化酵素(グルコアミラーゼ)を加え、さらに分解し、ブドウ糖を抽出する
③異性化酵素(グルコースイソメラーゼ)を加えることで、ブドウ糖を果糖に変換する(異性化)
このように、自然由来のものから作られるため「異性化糖」は添加物には含まれていません。
異性化糖の歴史
異性化糖は日本の発酵学の研究者 高崎義幸 によって作られました。
太平洋戦争後の日本は食糧難に陥っており、その打開策として
政府はサツマイモやジャガイモなどの比較的栽培しやすい作物の生産を推奨しました。
その結果、日本は食糧難を脱することができましたが、
過剰に生産された芋類の保管に困りました。
当時の日本は、貿易規制などにより多くの食品を輸入に頼っていました。
中でも砂糖はほとんどが輸入品で、非常な高価な品として扱われていました。
そこで政府は、芋類をでんぷんに変え、そのデンプンから「果糖」にする研究を進めました。
その成果として誕生したのが、砂糖の代替品である「異性化糖」です。
異性化糖が含まれる主な食品
異性化糖は様々な食品に含まれています。主に含まれているのは以下の加工食品です。
・ガムシロップ
・清涼飲料水(ジューズ、スポーツドリンク)
・ドレッシング、ケチャップ、めんつゆなどの調味料
・アイスクリーム
・パン
・缶詰
他にも様々なものに含まれており、化粧品に含まれていることもあります。
異性化糖に関する噂
異性化糖はあまり知られていないものになるので様々な噂があります。
①砂糖に比べ依存性が高く、中性脂肪に変化しやすいのではないか?
②異性化糖の原料である「遺伝子組み換えのとうもろこし」が体に影響があるのではないか?
③異性化糖は虫歯にならないのか?
などです。
①は血糖値を急激に上昇させる果糖を多く含んでいるため依存性が高いとされます。
特に清涼飲料水は、食べ物と異なり、噛んで分解する過程を踏まないため、
過剰に取りやすく、中性脂肪として蓄えられるのが増加する傾向にあるとされます。
ただし、研究は途中のため、「砂糖より悪い」という科学的根拠はないようです。
②異性化糖は国産のジャガイモやサツマイモを使うこともがありますが、
ほとんどがアメリカ産のとうもろこしを使用しています。
実際に、アメリカのとうもろこし(遺伝子組み換え)輸出国の上位に日本があります。
現在は遺伝子組み換え作物の安全性に問題はないとされていますが、
可能な限り避けておくべきでしょう。
③異性化糖は、製造過程が異なるだけで、砂糖と同じ構造をしているため、
虫歯菌が活発になり、虫歯になります。
結論:果糖ブドウ糖の正体
果糖ブドウ糖は「異性化糖」の1種で、構造的には砂糖と同じになります。
しかし、安価に作ることができ、保存しやすいため、様々な食品に使われています。
現在のところ、体への影響は確認されていまいものの、
原料が「遺伝子組み換え作物」など様々な懸念点もあります。
果糖ブドウ糖は「糖」であるため、過剰摂取しないよう気にするう必要があります。